健康知識を学んでも行動に移せない。そんな悩みをお持ちの方は多いと思います。
でもまずはそれでOK。なぜなら知識は知っているだけでも健康になるから。そんな夢のような話がスタンフォード・ハーバード大学のプラシーボ効果に関する研究によって示されているのです。
今回は、
- プラシーボ効果に関する研究の内容
- プラシーボ効果を生活にどう活かすか
を解説します。
知識を学ぶモチベーションが上がり、より健康的になれること間違いなしの内容です。
プラシーボ効果とは、思い込みが脳や体に影響を及ぼす心理現象
プラシーボ効果とは思い込みが脳や体に実際に影響を及ぼす心理現象のこと。
病気の人にただのビタミン剤(偽物の薬)を飲ませ、症状が改善したりするのもプラシーボ効果によるものです。
プラシーボ効果を描いたハリーポッターの1シーン
プラシーボ効果を理解するには「ハリー・ポッターと謎のプリンス」に出てくるフェリックス・フェリシス(幸運の液体)のワンシーンがうってつけです。
フェリックス・フェリシス:効果が切れるまでの間、飲んだ者のやることなすこと全てがうまくいく魔法薬
ハリーの親友ロンは、クディッチの試合を目前にして緊張でガチガチ。そんなロンに勇気を出してもらうため、ハリーはフェリックス・フェリシスを渡します。
幸運の液体を飲んだロンはクディッチで大活躍。でも実はハリーがロンにあげたのはただの水でした。
まさに「幸運の液体を飲んでいるから何でもできる!」という思い込みが体に影響したプラシーボ効果を描写しているのです。
プラシーボ効果を実証した研究
スタンフォード大学のアリア・クラム教授とハーバード大学のエレンランガー教授は、ホテル清掃員を対象に知識を与えるだけで実際に健康になるのかを調査ました。
研究の内容
研究の内容は以下のとおり。
- 参加者は7つの異なるホテルで働く女性清掃員84名
- 参加者をランダムに2つのグループに分ける
- 片方のグループにのみ健康のために必要な運動量、日々の業務がどれくらいの運動量なのか(掃除機15分で50kcal、バスルーム清掃15分で60kcalなど)を具体的に教えた
- 4週間後、全員の体重やBMIなどの体格指標と、質問表による生活の変化を調査
健康情報を教わったグループのみ体格が改善
4週間後の測定で健康情報を与えられたグループは
- 体重が平均900g減少
- 6人の血圧が10ポイント低下
- 7人の体脂肪率、BMI、ウエストヒップ比などの体格指標が明らかに健康的になった
という変化がありました。
この体重・血圧・体格の変化は健康情報なしのグループと比べ、有意な(統計的に意味のある)ものだったのです。
健康情報を教わったグループの運動や食事に変化はなし
以下は研究者による見解の要約です。
この研究のおもしろいところは、実験期間中も参加者の仕事・私生活での運動量は変化しておらず、甘い食べ物やアルコールを含め、食習慣もふだんと変えていなかった点だ。
もちろん質問表による回答なので、実際は参加者のライフスタイルが変化していた可能性もある。
しかし日常で必要な運動量や日々の仕事の消費カロリーを知っただけで、健康的な生活をする人はあまりいない。過去のいくつもの研究も、健康的な行動を実践するのはとても難しいと結論づけている。
つまり健康情報を知ったことによるマインドセット(心のありよう)の変化が、参加者の健康に影響を与えたことは明らかなのだ。
知識をどんどん学び、より健康になろう
この研究からわかることは、知識は知っているだけでより健康になれるということ。
たとえば朝散歩をするとき、以下の知識をもつ2人だったら確実に後者のほうが健康メリットを得られるでしょう。
- なんとなく健康に良さそうだ
- 朝日を浴びると幸せホルモンセロトニンが分泌されて活力がみなぎる。加えて太陽のブルーライトで体内時計がリセットされ、夜には睡眠ホルモンメラトニンがきちんと分泌されるから睡眠の質も高まる。さらに運動により血流が増え、脳へより多くの酸素が運ばれることで頭の回転も速くなる
実践できるかは別にしても、知っているだけであなたの健康度が上がる知識はたくさんあります。ぜひより多くの知識を身につけて健康博士になりましょう(๑•̀ •́)و✧