最近はコロナのせいで人との交流が減っていますね。なんとなく毎日が楽しくないとか、やる気が出ないとか、ネガティブな思考になることもあるかもしれません。
このような孤独感はただ寂しいだけでなく、健康に明確な悪影響があると研究でわかっています。
今回は科学的根拠に基づき、
- 孤独が健康にどんな悪影響をもたらすのか
- なぜ孤独が健康に悪いのか
を解説します。
この記事で社会的交流が健康のためにいかに重要かを再認識し、周りの人との関わりをより大切にしようと思えるはず。研究で判明している孤独対策に有効な人との交流のしかたも書いています。ぜひ読んでみてください!
孤独が健康に与える悪影響
まずは孤独が健康に与える悪影響を、2つの研究からご紹介します。
孤独で認知症のリスクが91%高まる
米ボストン大学の研究で孤独と認知症の関係が調査されました。
- 参加者は認知機能が正常な45~64歳の2,880人
- 孤独感の評価を6年間で2回行った
- 2回の評価で両方とも孤独を感じていたら「持続的な孤独」、1回目は孤独を感じ、2回目は感じていなかったら「一時的な孤独」とみなした
- 2回目の評価後18年以上にわたり、参加者が認知症を発症したか調査した
結果として、
- 「持続的な孤独」は孤独を感じていない人と比べて認知症リスクが91%高い
- 「一時的な孤独」は孤独を感じていない人と比べ、認知症リスクが66%低い
と判明しました。
一時的な孤独が認知症リスクを下げた理由を、研究者はこう説明しています。
孤独から立ち直れる人は、心理学的にいえばレジリエンス(精神的回復力)を備えていて、加齢に伴う脳の変化に適応するのが上手い可能性がある
中年期の孤独感は認知症リスクが約2倍、米ボストン大
孤独が炎症を起こし、炎症がまた孤独につながる
カーネギーメロン大学のティモシー・ヴァースタイネン博士は、社会的孤立が全身の炎症を悪化させることを発見しました。しかも孤独による炎症レベルは、喫煙者や肥満の人に匹敵したのです。
博士によれば孤独は老化の無限ループにつながる可能性があるそうです。
- 孤独による炎症で脳の灰白質が損傷する
- 灰白質の損傷により意思決定がうまくいかなくなり、さらに社会的交流が減る
- 社会的交流が減ったことによって、より孤独になる→①へ戻る
炎症が何なのか、どれくらい健康に悪いのか気になる方には以下の記事が参考になります。
孤独が健康に悪い2つの理由
孤独が脳や体に悪影響を与える理由は2つあります。
人との交流が脳のトレーニングになる
映画「恋人たちの予感」のワンシーンは交流がいかに脳のエネルギーを使うかを実感させてくれます。そのシーンは恋人が他の女性と結婚することになり泣きじゃくるサリーと、友人のハリーの会話。
サリー
「これまで彼は結婚する気がないと言ってきたけど、本当はわたしと結婚する気がなかったのよ。わたしが気難しいせいよ」
と涙の海で溺れる寸前です。
ハリー
「いや、しっかりしているんだよ」
となぐさめます。
サリー
「わたしは頭ががちがちだし、頑固なのよ」
とすすり泣き。
ハリー
「でも、いい意味で、だと思うよ」
と肩をすくめてこう切り返します。
サリーは悲しみの感情を爆発させ、ハリーはサリーの気持ちをくんで上手くなだめます。サリーとハリーのやりとりの間、2人の脳は大忙しでしょう。
実際研究者の中には、脳が意識的に行う活動の中で、人との交流が最も複雑で多くのエネルギーを要すると確信する人もいます。
健康に悪い生活習慣をどんどんするようになる
社会とのつながりがなくなれば見た目は気にしなくなり、食生活や身だしなみのケア、住環境はどんどん悪くなっていきます。体に悪いことをしても、正してくれる人はだれもいません。
不健康な生活がさらなる体調不良につながり、活力がなくなって、より悪い生活習慣を引き起こすのです。
孤独対策のために人とのつながりを大切に
科学的に人は2週間に1回以上連絡をとる相手との関係を維持、もしくはより親密にすることがわかっています。人付き合いが面倒な人でも、自分にとって大切な人とは最低2週間に1回の連絡をしておくのがおすすめ。
また健康のためにベストなのは対面の交流です。でも直接会うのが難しい場合は、ビデオ通話などのオンラインの社交も認知力向上に役立つと研究で判明しています。
本記事の参考にしたブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産であるという本ですすめている孤独対策の最も有効な手段はダンス(タンゴ、ジャズ、フォークダンスなど)だそうです。直接の人との触れ合いが幸福感、認知機能、転倒予防に効果的なんだとか。
ネットの進歩やコロナの影響で人とのつながりが少なくなっている現代。だからこそ恋人、家族、友人との関係をもう少し親密にしてはどうでしょうか。
身近な人との小さな関係性の変化でも、お互いの孤独感をかなり減らせます。その小さな違いが、より多くの健康資産を築くことにつながりますよ。