あなたはナッツを毎日食べていますか?
もし日常的に食べていないなら、最も手軽で強力な健康法をスルーしていると言っても過言ではありません…
今回はナッツの健康効果を、科学的根拠にもとづいて4つ紹介します。
さらに20個もの研究をもとにしているので、
- ナッツになぜ上記のような効果があるのか
- 数値的にどのくらい好影響があるのか
まで、きっちり理解できますよ。
この記事でナッツを毎日食べたくなること間違いなしです。最後にはぼくのおすすめナッツ商品も紹介しています。
高い抗酸化・抗炎症効果で老化をおさえる
ナッツは老化の大きな原因である酸化・炎症をおさえると研究で実証されています。
ポリフェノール豊富なナッツは魚以上の抗酸化力
2012年の研究(※1)でクルミと魚(サケ)の抗酸化力を比べました。研究内容は以下のとおり。
- 参加者は23〜65歳の男女は25人
- 参加者全員が4週間ずつローテーションでクルミ食、魚食、コントロール食をとる
- クルミ食:週255gのクルミを含む食事
- 魚食:週227gのサケを含む食事
- コントロール食:その他と同カロリーでクルミ、魚を含まない食事
- 各ローテーションの間は1週間あけて体の抗酸化力を基準値に戻す
- 各ローテーション終了ごとに体の抗酸化力を測定
結果として、体内の抗酸化力はクルミ食 > 魚食 > コントロール食の順に有意に高まりました。
測定項目 | クルミ | 魚 | コントロール |
---|---|---|---|
血中の 抗酸化物質量 (μmol/L) | 178.6 | 172.29 | 170.71 |
尿中の 抗酸化物質量 (μmol/L) | 94.14 | 92.99 | 81.07 |
有意:結果が偶然による誤差ではなく、統計的に意味があること
» 魚の7つの健康効果!水銀問題や魚油サプリの有効性についても解説
ナッツで体の抗酸化力が上がるのは、ポリフェノールを豊富に含むため。クルミ以外のナッツが体内の抗酸化力を高めと実証した研究も多数あります。
興味があれば読んでみてください↓
いくつもの研究でナッツの抗炎症効果も実証済
2014年の研究(※5)でナッツ(クルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツ)の抗炎症効果を調査しました。研究内容は以下のとおり。
- 参加者は55〜80歳の心臓病予備軍(高血圧や肥満、喫煙習慣など)の男女164人
- 期間は1年
- 参加者をランダムに3つのグループに分ける
①地中海食 + ナッツ1日30g
②地中海食 + エクストラバージンオリーブオイル(以下EXVOと表記)1日50ml
③低脂肪食 - 研究開始時、終了時に体内の炎症レベルを測定
地中海食:多数の研究で健康効果が高いと示されている地中海沿岸国(イタリアやスペインなど)の食事。野菜や果物、魚、オリーブオイル、穀物、豆を多用する
結果として、ナッツとEXVO群は低脂肪食と比べて体内の炎症レベルが有意に下がりました↓
表の数値は各炎症指標の1年間変化率(%)です。
炎症指標 | 地中海食 +ナッツ | 地中海食 +EXVO | 低脂肪食 |
---|---|---|---|
sVCAM | -22 | -16 | -7 |
sICAM | -8 | -50 | +17 |
sE-SEL | -14 | -6 | -7 |
sP-SEL | -19 | -27 | +2 |
IL-6 | -44 | -43 | +43 |
CRP | -40 | -50 | -8 |
IL-18 | -15 | -1 | -2 |
IL-10 | +8 | +7 | +8 |
MMP-9 | +32 | +30 | +69 |
TIMP-1 | -1 | +2 | +6 |
ナッツがEXVOと同等以上の抗炎症効果をもつとわかりますね。ちなみにオリーブオイルがどのくらい健康に良いかは、以下の記事で解説しています。
» オリーブオイルの健康効果3つ!15個の研究をもとにわかりやすく解説
ナッツのみで体内の炎症レベルへの影響を調べた研究は以下の4つです。
- 糖尿病患者にピスタチオ25gを1日2回、4週間食べてもらうと体内の炎症レベルが有意に低下(※6)
- 人口透析患者にブラジルナッツを1日1個、3ヶ月食べてもらうと体内の炎症レベルが有意に低下(※7)
- 健常者にブラジルナッツ25gまたは50gを食べてもらうと30日後の体内の炎症レベルが有意に低下(※8)
- 糖尿病患者にアーモンドを1日56g、4週間食べてもらうと体内の炎症レベルが有意に低下(※9)
太りぎみだったり、お菓子やスイーツ、ファストフードなどの加工食品をよく食べる人は体内で炎症が起きている可能性が高いです。
疲れやすいなど、慢性炎症が疑わしい場合はナッツの抗炎症作用がより効果的なはずですよ。
ナッツを食べるだけでダイエットになる
ここでは
- ナッツのダイエット効果を実証した2つの研究
- ナッツがダイエットに効果的な2つの理由
を解説します。
ナッツのダイエット効果を実証した2つの研究
ここではピスタチオとアーモンドのダイエット効果を実証した研究を1つずつ紹介します。
ピスタチオのダイエット効果を実証した研究
1つめは2010年に発表されたピスタチオのダイエット効果を調べた研究(※10)です。研究内容は以下のとおり。
- 参加者は肥満の男女31人
- 期間は4ヶ月
- 参加者をランダムに1日53gのピスタチオ群、1日56gのプレッツェル群に分ける
- その他の食事は総カロリーが両群で同じになるダイエット食を提供
- 研究開始前、終了後に参加者の生理指標を測定
ちなみにプレッツェルはドイツのパンです↓
12週間後、両グループとも有意に体重が減少。さらにピスタチオ群はプレッツェル群と比べ、
- BMI減少量が2.2倍
- 中性脂肪が34%多く減少
という結果になりました。
アーモンドのダイエット効果を実証した研究
アーモンドを使った2014年の研究(※11)でも、ダイエット効果が実証されています。
- 参加者は肥満の女性108人
- 期間は3ヶ月
- 参加者をランダムに1日50gのアーモンド群、ナッツなし群に分ける
- その他の食事は総カロリーが両群で同じになるダイエット食を提供
- 研究開始前、終了後に参加者の生理指標を測定
アーモンド群とナッツなし群で有意な差があった生理指標は以下のとおり。
生理指標 | アーモンド群 | ナッツなし群 |
---|---|---|
BMI(kg/㎡) | -1.45 | -0.49 |
ウエスト(cm) | -12.48 | -3.76 |
ヒップサイズ(cm) | -1.06 | -2.81 |
血糖値(mg/dL) | -12.2 | -6.9 |
中性脂肪(mg/dL) | -124.18 | -60.33 |
コレステロール(mg/dL) | -91.02 | -55.2 |
ほぼアーモンド群の圧勝ですね。
ヒップサイズに関して。おしりの脂肪はつきにくく減りづらいです。なので3ヶ月では食事自体の効果が出なかったのだと思います。
ナッツがダイエットに効果的な2つの理由
ナッツが上記のようなダイエット効果をもつ理由は2つあります。
- アボカド以上の豊富な栄養がもたらす満腹感
- ナッツのカロリーは体に吸収されにくい
順に解説します。
アボカド以上の豊富な栄養がもたらす満腹感
アメリカの栄養成分データベースもとにミックスナッツとアボカドの100gあたりの主な栄養素を比べた表が↓です。
栄養 | ナッツ | アボカド |
---|---|---|
カロリー | 594kcal | 160kcal |
炭水化物 | 25.4g | 8.5g |
脂質 | 51.4g | 8.5g |
タンパク質 | 17.3g | 2g |
食物繊維 | 9g | 6.7g |
ビタミンA | 4.5μg | 43.8μg |
ビタミンB6 | 0.3mg | 0.3mg |
ビタミンC | 0.4mg | 10mg |
ビタミンE | 0mg | 2.1mg |
ビタミンK | 0μg | 21μg |
カルシウム | 70mg | 12mg |
鉄 | 3.7μg | 0.5μg |
マグネシウム | 225mg | 29mg |
リン | 435mg | 52mg |
カリウム | 597mg | 485mg |
ナトリウム | 12mg | 7mg |
亜鉛 | 3.8mg | 0.6mg |
銅 | 1.3mg | 0.2mg |
マンガン | 1.9mg | 0.1mg |
セレン | 0μg | 0.4μg |
ビタミン以外ほぼミックスナッツの圧勝です。ナッツの豊富な栄養素による満腹感が食事量を減らすというわけですね。
ただ、ナッツは高カロリーなので食べすぎに注意しましょう。ナッツの1日分の適量や過食のリスクは後ほど説明します。
ナッツのカロリーは吸収されにくい
ナッツが高カロリーな最大の要因はアボカドの6倍もの脂質量です。
しかしナッツの脂質は豊富に含まれる食物繊維(アボカドの1.3倍)におおわれています。そのため体内に入っても全カロリーが吸収されるわけではありません(※12,※13)。
ナッツを食べたとき、体内に吸収されるカロリーが実際のカロリーよりも少ないことを実証した研究もあります。
腸内環境改善
ナッツは健康に重要な腸内環境の改善にも役立ちます。
ここでは
- そもそもなぜ腸内環境が健康に重要なのか
- ナッツを食べると腸内環境にどう影響するのか
を解説します。
腸内環境の健康に重要な3つの役割
腸内環境(=腸とそこに住む重さ約1.5kgにもなる細菌たち)は健康のために重要な役割を果たします。具体的には以下の3つです。
- 消化した食べ物から栄養を吸収する
- 一方で病原菌や有害物質が体内へ入るのを防ぐ
- 脳腸相関といって、脳とお互いに影響しあっている
腸内環境が健康に重要な理由を詳しく知りたい人には、以下の記事が参考になります。
(後日公開予定)
3種のナッツの腸内環境改善を実証した研究
ナッツの豊富な食物繊維やポリフェノール、良質な脂肪は腸内環境を改善してくれます。たとえば
- 194人が対象の研究(※17)。1日48gのクルミを8週間とると、クルミなしの食事に比べて有意に腸内の善玉菌が増え、悪玉菌が減少
- 48人が対象にの研究(※18)。1日56gのアーモンドを6週間とると、1日8gのフラクトオリゴ糖をとった場合に比べて有意に腸内の善玉菌が増え、(病原菌の侵入を防ぐ)バリア機能が改善
- 16人が対象の研究(※19)。1日42gまたは85gのアーモンドかピスタチオを18日間とると、ナッツなしの食事に比べて有意に腸内の善玉菌の多様性が増えた。善玉菌の多様性はアーモンドよりもピスタチオのほうが増していた
といった研究事例があります。
あらゆる病気の発症・死亡リスクを減らす
ここまでに書いたいろんな健康効果のおかげで、ナッツを食べると多くの病気・死亡リスクを減らすことができます。
ナッツに関するメタ分析で8種類の病気、死亡リスクが低下すると判明
メタ分析:同じテーマの複数研究を統計的に分析する信頼性の高い研究方法
2016年に発表されたメタ分析(※20)によれば、1日20gのナッツを食べると
- 心臓病リスクが29%
- 脳卒中リスクが7%
- がんリスクが15%
- 神経変性疾患(認知症など)リスクが35%
- 呼吸器疾患(肺炎など)リスクが52%
- 糖尿病リスクが39%
- 腎臓病リスクが73%
- 感染症リスクが75%
- 全死亡リスクが22%
有意に減ることが判明しています。
さらにこの研究では、調査対象の地域の約440万人の早期死亡は、1日のナッツ消費量が20g未満だったことが原因だと推定しています。
1日30g以上ナッツを食べると脳卒中リスクが上がるかも?
先ほど紹介したナッツの病気・死亡リスク低下に関するメタ分析(※20)には「ナッツの摂取量が1日30gを超えると脳卒中リスクがわずかに上昇し始めた」とも書いてあります。
ただし、30g以上のナッツ摂取による脳卒中リスク上昇傾向は、統計分析の方法を変えるとなくなりました。
この研究をふまえ、ぼくはナッツを食べる量を1日22gにおさえています。
ナッツを食べて健康になろう!
ナッツの4つの健康効果をまとめます。
ナッツはおいしく、値段も安く、料理の手間もなく、健康効果たくさんのスーパーフードです。ぜひ毎日20g程度を目安に食べてみてください。
ぼくが食べているのは以下のミックスナッツ
- 個別包装
- 1袋22g
- 食塩・植物油不使用
と、健康のために食べるなら量・質ともにベスト。Amazon定期おトク便を使えば、値段が10%安くなって買い物の手間も減りますよ。
健康意識が高い人は、ローストナッツよりも生ナッツの方が体に良いのでは?と思うかもしれません。
結論からいうと、健康効果はローストナッツでも生ナッツでもあまり変わらないです。詳しくは以下の記事で解説しています。
(後日公開予定)