- 換気はどのくらいの頻度で必要?
- どう換気すればより速く、多くの空気を入れ替えれる?
- 窓が1つの部屋・ない部屋の換気方法が知りたい!
日常的にする換気ですが、効果的な換気方法は以外と知られていません。正しい換気ができていないと汚れた空気やCO2は部屋に残ったままです。
そこで今回は厚生労働省や空調機メーカー、住宅事業者の情報をもとに、
- 健康被害を避けるための適切な換気の頻度
- 窓2つ以上・1つ・なしの部屋パターンに分けた効果的な換気法
- 雨の日や睡眠時の換気のポイント
を解説。
脳機能や睡眠の質を上げる正しい換気のやり方がわかります。換気不足が脳・睡眠に与える具体的な影響は、以下の記事で解説しています。
» 部屋の換気による健康効果を科学的に解説!空気の入れ替えで脳機能・睡眠の質UP
エアコンに換気機能はない
まず前提として、エアコンは温度を変えて部屋の空気を循環させるものです。室内外で空気の入れ替えはしていません。
たとえば冷房なら以下の流れで空気を冷やします。
- 室内機が室内の熱い空気をとり込む
- 冷媒ガスという温度だけを運ぶ気体が、空気の熱を室外機へ送る
- 室外機は熱を外に吐き出し、下がった温度を室内機へ戻す
- 室内機は冷たくなった空気を吐き出す
つまり室内機と室外機は温度のやりとりのみで、空気の交換はしないのです。なのでエアコンでは換気ができません。
適切な換気の頻度は30分に1回、5分以上
厚生労働省が推奨する換気の頻度は、数分の換気を1時間に2回以上。またエアコンなどの空調製品を扱うダイキン工業は5分の換気を1時間に2回するのが効果的としています。
まとめると部屋の空気をきれいに保つには、30分に1度、5分間が換気の最低ライン。それ以上の換気ができるとさらに良いです。
寒冷順化とは寒さに適応した強い体をつくること。ぼくは換気のために、真冬でも部屋の窓を基本開けっぱなしにしています。具体的な寒冷順化のやり方は以下の記事を読んでください。
CO2(二酸化炭素)濃度測定器で換気タイミングをチェック
CO2濃度測定器があれば、換気のタイミングが客観的にわかります。ぼくが使っているのは↓の高精度CO2濃度測定器
設定したCO2濃度の基準値を超えたらアラームを鳴らすことも可能です。
厚生労働省は脳機能低下やシックハウス症候群(めまいや頭痛、疲労感などの症状)を防ぐため、建物のCO2濃度は1,000ppm以下を推奨しています。
ぼくも部屋のCO2濃度が1,000ppm付近になったらすぐに換気をしています。
部屋パターンごとの効果的な換気方法
できるだけ速く、より多くの空気を入れ替える換気のポイントを部屋のパターンごとに紹介します。
- 全パターン共通:24時間換気システムを使う
- 窓が2つ以上の部屋:対角線の窓を開ける
- 窓が1つの部屋:窓・ドアを開けて扇風機ON
- 窓がない部屋:ドアを開けて扇風機ON & 他部屋の換気扇・窓から換気
順に解説します。
全パターン共通:24時間換気システムを使う
めまいや頭痛、疲労感などが起こるシックハウス症候群を防ぐため、2003年から住宅に24時間換気システムの設置が義務付けられました。
なので2003年以降に建てた住宅には、必ず24時間換気システムがついています。
- 1時間で建物全体の空気の半分を入れ替える
- 1ヶ月フル稼働しても電気代は月100〜500円ほど
- 熱交換器付きなら、室内の温度はそのままで空気だけ入れ替え可能
ご自宅に24時間換気システムがあるか、ぜひ確かめてみてください。吸気口・排気口のお手入れもたまにすると、より効果を発揮できます。
窓が2つ以上の部屋:対角線の窓を開ける
窓を開ける方法も、もちろん有効な換気手段。以下の4つのポイントを意識すると、より効果的な換気ができます。
- 部屋の対角線にある2つの窓を開ける
- 空気が入る窓は小さく、出る窓は大きく開ける
- エアコンから離れた窓を選ぶ
- 空気清浄機は空気の入り口付近に置く
1から順に説明します。部屋の対角線の2つの窓を開けると、空気の通り道が最長になって効率的に換気ができます。
また空気は小さなスキマから勢いよく入り、大きなスキマからは少ない力でスムーズに出ます。なので2のポイントを守るとより速く換気ができるのです。
3に関して、エアコン近くの窓を開けるとエアコンに負荷がかかり電気代がかさみます。なのでエアコンから離れた窓を開けるのがおすすめ。
そして4のように空気清浄機を空気の入り口付近に置けば、外から入る花粉やPM2.5などの空気の汚れを効率的に除去できます。
窓が1つの部屋:窓・ドアを開けて扇風機ON
窓が1つしかない部屋は、扇風機を窓に向けてONにしましょう。扇風機が室内に向いていると外の空気は入りますが、部屋の汚れた空気は室内に残ってしまうためです。
部屋のドアを開けて空気の入り口をつくると、より効果的に換気ができます。
窓がない部屋:ドアを開けて扇風機ON & 他部屋の換気扇・窓から換気
窓がない部屋は開けたドアに扇風機を向け、他の部屋の換気扇や窓から換気しましょう。↑のように空気の流れができる換気が有効です。
雨の日の換気はカビ予防になる
カビが生える条件は以下の3つ。
- 室温が20度〜40度、湿度70%以上
- ホコリなど、カビのエサがある
- 空気が動かない環境
換気をしなければホコリは部屋にとどまり、空気も動きません。さらに人は常に皮膚から1時間あたり約30mlの水蒸気を出しています。なので雨の日に、部屋の湿度が外より低いとは限らないのです。
以上の理由から雨の日も換気をした方が、むしろカビ予防にもなります。どうしても湿気が気になる場合は、エアコンの除湿機能を使うのがおすすめです。
睡眠中の窓開け換気は騒音に注意
換気の脳と睡眠への影響を解説した記事で、換気は睡眠の質を上げるとお話ししました。ですが夜間の窓開け換気は、車や電車などの騒音で睡眠の質が下がる可能性があります。
WHO(世界保健機関)の2009年レポートによれば、環境音が40デシベルを超えると夜間覚醒や睡眠障害のリスクが上がってくるそう。
なので騒音が気になる夜間の窓開け換気は、
- 寝る前にじゅうぶん換気をして窓を閉める
- 耳栓をする
などの方法がおすすめです。
効果的な換気で健康を守ろう
正しい換気の知識をまとめます。
- エアコンに換気機能はない
- 30分に1回、5分間が換気の最低ライン
- 2003年以降の建物には24時間換気システムが付いているので活用
- 窓が2つ以上の部屋は対角線の窓を開ける
- 窓が1つの部屋は窓・ドアを開けて扇風機ON
- 窓がない部屋はドアを開けて扇風機ON & 他部屋の換気扇・窓から換気
- 雨の日も換気はカビ予防になる
- 睡眠中の窓開け換気は騒音に注意
脳機能低下やシックハウス症候群を防ぐため、ぜひ上記のポイントをおさえて換気をしてください。
換気不足が脳・睡眠に与える具体的な影響は、以下の記事で解説しています。
» 部屋の換気による健康効果を科学的に解説!空気の入れ替えで脳機能・睡眠の質UP